
家紋「三つ茶の実」。由来は明らかではないが、茶が高貴な薬として日本にもたらされたことから、その長寿などの効用にあやかったのではないかといわれている。
緑茶、紅茶、烏龍茶……。私たちの暮らしを彩るお茶は、すべてチャノキ(学名:カメリア・シネンシス)という、同じ木からつくられます。
摘まれた新葉は、蒸され、炒られ、発酵し、乾かされることで茶葉となります。製法や産地によって、茶葉は湯の中で若葉色から黄金、橙、深紅へと美しいグラデーションを描きます。
その一杯は、茶室の静けさ、お茶会やアフタヌーンティーの華やぎ、そしてあなたのくつろぎの時間を生み出します。小さな葉が紡ぐ豊かな情景をめぐる旅―「チャノキのクリエイション。」へ、ようこそ。
特集「チャノキのクリエイション。」目次

すべてはチャノキから
チャノキはアジアに200種以上が分布するツバキ科の常緑樹。光沢感のある葉が特徴で、秋から冬にかけて小さな白い花を咲かせます。
摘みとられたチャノキの葉は、発酵度合いの違いによって緑茶、紅茶、烏龍茶へと姿を変えます。葉を蒸すことで酸化酵素を抑制し、発酵させないものが緑茶。葉を完全に発酵させたものが紅茶、半発酵させたものが烏龍茶です。
それぞれの茶葉は見た目もさまざま。
たとえば、葉の形を保ったまま乾燥させたフルリーフタイプと、細かく砕いて粒状に仕上げたブロークンタイプでは、同じお茶でも見た目がまったく異なります。台湾烏龍茶は丸い形状のものが一般的。茶葉を揉みながら丸めることで風味を閉じ込めています。抹茶の鮮やかな緑色は、日陰で栽培することで生まれます。また、フレーバードティーはトッピングで見た目も華やかなものも多く、その表情の豊かさに驚かされます。
発酵の度合いによって、茶葉をお湯に浸出させたときの「水色(すいしょく)」も大きく変わります。完全発酵の紅茶は赤系、半発酵の烏龍茶は黄系、緑茶は発酵していないので緑のままです。
さらに、産地や品種、葉が摘まれた季節によっても水色は繊細に変化します。たとえば紅茶では、インドのアッサムは深紅や赤褐色で、スリランカのセイロンは明るい橙色に。また、同じインドのダージリンでも、春に摘んだファーストフラッシュは黄金色、秋摘みのオータムナルは濃い橙色とまったく違う色を見せます。

LUPICIA Tea Magazine