台湾・紅烏龍の魅力に迫る

「紅烏龍(ホンウーロン)」とは

「紅烏龍(ホンウーロン)」が、いま台湾でじわじわと注目を集めています。「紅烏龍」とは、発酵度の高い烏龍茶のこと。お茶の色は琥珀色で、烏龍茶の爽やかさと紅茶の芳醇さをかけ合わせたような、特有の風味が魅力です。近年では、台北市内のお茶屋さんでも多く見かけるようになり、日本での取り扱いも徐々に増えている印象です。今回、ルピシアの買い付けチームは、紅烏龍発祥の地、台湾・台東県を訪れました。ルーツを知り、生産者の思いを知ると、一杯のお茶はより特別なものになります。
紅烏龍誕生の物語を、これから紐解いていきましょう。

台湾・台東県へ

台湾島の南東部に位置する台東県。台北から国内線で1時間ほどです。訪れたのは12月上旬。空港に降り立つと、台北とは違う空気の温かさに驚きます。

今回の舞台は、台東県・鹿野郷。空港から茶園に向かう道中は、町並みと自然豊かな風景が交互に見えてきます。気になるのが、そこかしこに広がる果樹園。台東県・鹿野郷周辺は「釈迦」という果物が名産だそうで、ひと房ずつ大切に袋かけされて育てられていました。

鹿野郷の市街地。

釈迦の果樹。

釈迦。釋迦頭(バンレイシ、しゃかとう)などとも呼ばれます。ねっとりとした食感ととても甘い味わいで、見た目とのギャップに驚きます。

紅烏龍を生産している茶園へ

市街地を離れ、釈迦の果樹園に挟まれた道を進むと、紅烏龍を生産している茶園が見えてきました。やや小高い場所にあり、東にはどこまでも続く太平洋、西には中央山脈を望みます。美しく等間隔に植えられた茶樹の上を、白く小さな蝶が無数にひらひらと舞い踊る景色に、しばし恍惚として見入ってしまいます。

茶園の様子。ダイナミックな地形に囲まれた美しい風景。

こちらの茶園は有機栽培にこだわっています。茶園と果樹園の間に背の高い樹木をあえて残すことで、果樹園で散布される農薬が風に流されて降りかかるのを防ぎます。

生態系を守りながら栽培される茶樹。

生産者の鄭氏。茶園管理のこだわりを熱く語ってくださいました。

紅烏龍誕生の秘密

台東での紅烏龍誕生の秘密。それは「台東の紅茶生産技術」「緑の烏龍茶の人気の高まり」そして「熱帯性の気候」にあります。
1960年代から台東周辺でお茶の生産が始められ、1984年に茶業改良場の分場が作られると、鹿野郷周辺での茶栽培が本格的に始まりました。産地としても比較的新しいといえます。主にアッサム種を使用した紅茶の生産を行っていましたが、輸入茶葉に勝てない状況から、金萱種などを使用した烏龍茶生産にシフトします。ところが、1990年代以降の高山茶ブームにより台東の烏龍茶の需要が伸び悩んだことから、この地域ならではのお茶を開発、紅茶と烏龍茶の製造技術を組み合わせて作られたのが、紅烏龍です。台東の”常夏”ともいえる温暖な気候では、発酵も進みやすく、地域の気候特性がお茶作りに活かされています。

紅烏龍は、今や台東県だけでなく、梨山や阿里山といった高山茶の産地でも生産されるようになりました。まだまだ各産地で、試行錯誤が繰り返されているお茶ですので、今後も風味のバラエティーが広がっていくと思われます。

起伏に富んだ自然豊かな土地、台東

海と山々に囲まれ、起伏に富んだ自然豊かな土地、台東。台湾の方に台東県のイメージを聞いてみると「海沿いのリゾート」「ゆったりと寛ぎたいときに訪れる場所」「“チルアウト“におすすめ」とのこと。

自然環境と人の技術が相まって生まれた紅烏龍。今後さらに面白くなる可能性を秘めた、いま大注目のお茶です!

鹿野紅烏龍 冬摘み – 30g 袋入

紅烏龍発祥の地、台湾・鹿野郷から。バニラやブランデーを思わせる濃密な香り立ちで、愉楽に浸る一杯を。
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阿里山紅烏龍 – 30g 袋入

近年注目を集める、発酵度の高い烏龍茶。高山茶の人気産地として名を馳せる阿里山から届いた上質な一杯です。
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