新茶って何がいいの?

ルピシアだより 2021.5 P4

 一年に一度、この季節だけ楽しめる新茶(一番茶)。どうして新茶は特別なの? 他の季節と味や香りはどう違うの? お茶の研究をしている根角厚司(ねすみあつし)先生と物部真奈美(ものべまなみ)先生にお話を伺いました。

ルピシアだより 2021.5 P4
農研機構
枕崎研究調整監
根角厚司(ねすみあつし)先生

ルピシアだより 2021.5 P4
農研機構 茶品質
機能性ユニット長
物部真奈美(ものべまなみ)先生

POINT 1 爽やかな香り

 新茶は、その年最初に芽吹いた新芽だけで作られます。最大の特徴は、若葉特有のフレッシュな香り。その爽やかな香りは、様々な香気成分が複合的に関係し合ってできていますが、中には新茶に特に多く含まれる「緑の香り」成分も存在します。しかも新芽は繊維が少なくとっても柔らか。実はこの葉の柔らかさも、お茶の香りを左右する大きな要素なのだそう。
 「お茶の葉は、気温が上がると繊維が増え、硬くなっていきます。繊維が増えると硬葉臭(こわばしゅう)と呼ばれるネガティブな香りが出てくるので、夏以降の二番茶、三番茶は、強めに焙煎するなどして硬葉臭を感じにくくする加工をします。一方、一番摘みの新茶は硬葉臭がないので、新鮮な若葉の香りそのものを楽しめます」(物部先生)

POINT 2 圧倒的な旨み

 新茶には、テアニンやグルタミン酸などの旨み成分が二番茶よりも2倍以上多く含まれます。これは冬の間、茶樹の成長を止めてたっぷりと蓄えた栄養分が、新芽にぎゅっと凝縮するため。そんな新茶特有の旨みを味わうには、「ひと冷ましした70~80℃のお湯でいれるのがおすすめ。渋みを抑えつつ、新茶の旨みをしっかりと引き出せます」(物部先生)

POINT 3 「今」だけの鮮度感

 昔は今のような貯蔵技術がなく、青く若々しい新茶の香りは夏頃までしか持ちませんでした。「風味が変わる前のフレッシュな新茶は『今』しか飲めない。だからこそ、昔から日本人は貴重な新茶を楽しみに待ち、縁起物として大切にしてきた」と根角先生は話します。
 もちろん、現代においても新茶は鮮度が命。「新茶の香り成分やビタミンCは時間とともに失われやすいので、買ったら早く飲み切るのがポイント」(根角先生)です。
 真っ盛りを迎えた今年の新茶。「今」だけの風味を思う存分楽しみましょう!


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