
暑い夏がやって来ました 。
サラサラと味わえるお茶漬けは、極力火を使いたくない夏場にぴったりな食事です。
簡単で手軽なだけではなく、調べてみると、夏の体にうれしいメリットも見えてきました。
お茶の種類や温度、具材の組み合わせ次第でレパートリーが広がるのも魅力です。
今年の夏は、お茶漬けを楽しんでみませんか。
特集「夏こそ!お茶漬け。」目次
実は理に適った夏の食事
食欲が落ちる夏でもサラサラと味わえるお茶漬けは、炭水化物、水分、塩分を一度に摂ることができる理想的な食事です。
夏は汗をかく分、意識して水分摂取を心がける必要がありますが、発汗すると水分だけではなく、ナトリウムも同時に失われます。そのため、水だけを飲むと体内のナトリウム濃度が薄まってしまいます。日本スポーツ協会によると、効率的な水分補給のためには、塩分(塩化ナトリウム)と糖分を含んだ飲料がよいといわれています。
つまり具材の塩分、ご飯の炭水化物(分解されるとブドウ糖=糖分になる)、お茶の水分を一緒に味わえるお茶漬けは、夏の体にぴったりな食事といえるのです。


夏の体にうれしいお茶の効能
日本の臨済宗の宗祖・栄西禅師が記した日本最古の茶書「喫茶養生記」には、東洋医学の基本的な考え方「陰陽五行説」 で見るお茶の健康効果が書かれています。
お茶は「五味」の「苦」にあたり、心臓・血液循環を表す「五臓」の「心」に作用するとあります。暑くて汗をかいたり、体に熱がこもったりと、「心」に負担がかかりやすい夏にお茶を飲むことは合理的なのです。
さらにお茶にはビタミンやミネラルが含まれており、汗で失われたミネラルを補給するのに適していますし、お茶の旨み成分であるテアニンは、心身をリラックスさせる働きがあるといわれています。夏のお茶、そしてお茶漬けは、まさにいいこと尽くめなのです。
光源氏も食べていた?!冷やし茶漬け
そんなお茶漬けはいつ頃から食べられていたのでしょう。その前身は平安時代まで遡ります。またお茶を飲む習慣がない時代なので、貴族たちは蒸したお米「強飯(こわいい)」にお湯をかけた「湯漬け」を食べていたといいます。「源氏物語」には、強飯を水に浸した「水飯(すいはん)」を食べるシーンが登場します。今でいう「冷やし茶漬け」を光源氏も味わっていたのです。
戦国時代に入ると湯漬けは武家の間でも好まれ、室町幕府第8代征夷大将軍の足利義政はお酒に酔ったときに、織田信長は出陣前に食べていたという説も。
お茶が庶民にも広まった江戸時代には「茶漬屋」ができ、漬物、佃煮、焼いた干物などを具材にした現在のようなお茶漬けを提供していたそうです。
お茶×具材×温度帯で広がるレパートリー
単調になりがちなお茶漬けですが、使うお茶の種類や具材との組み合わせ次第でレパートリーはぐんと広がります。特に夏は「冷やし茶漬け」の出番が増えます。「冷やご飯+冷たいお茶」が定番ですが、「冷やご飯+熱々のお茶」や「温かいご飯+冷たいお茶」など、好みの温度帯を見つけるのも楽しいものです。
暑くてたまらない日なら、氷を入れてキンキンに冷やす「氷茶漬け」にすると、よりさっぱりと楽しめます。一方、クーラーで冷えた体には、熱々のお茶漬けを。おなかの中から温めると、心も体もリラックスできます。
西洋医学・東洋医学・食を通じて健康を提案する「中村薬局(札幌市)」の中村峰夫さんに取材協力をいただきました。中村さんは漢方や生薬にも精通した管理薬剤師です。
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