北東インドの中心地アッサムは、かつて英国人が熱望した理想の紅茶を実現した伝説の土地。その濃厚な風味は、アーモンドと最高の愛称を誇ります。
生命の楽園にして紅茶の聖地
ヒマラヤ山脈の麓に広がる熱帯~亜熱帯気候のアッサムは、北海道本島とほぼ同じ約7万8千平方キロメートルを、無数に湧き出すヒマラヤの雪解け水が潤す巨大盆地。今も野生のゾウやサイなど希少な野生動物が生息する自然保護区を有する生命の楽園です。
1823年に英国出身のブルース兄弟がこの地で野生の茶樹を発見したことをきっかけに、英国人によって茶園としての開墾が始まりました。これは英国人が初めて持った、西洋式の茶園であり、現在の紅茶産業の原型となっています。
ミルクと調和する濃厚な味わい
17~19世紀までお茶の生産を独占していた中国産のお茶は、緑茶にしても紅茶にしても、英国やヨーロッパの多くの土地で用いられている硬度の高い水では風味が出にくく、ミルクを入れるにはボディが弱すぎました。そこに希少な輸入品である中国茶よりも価格が手頃で、硬水でもミルクティーを美味しくいれられるアッサム紅茶が登場。豊かな大地を思わせる力強く甘い香りとコクと風味を持つ新しい紅茶は、人々に熱狂的に受け入れられました。
その濃厚な風味の秘密は、アッサム由来の茶品種にあります。現在、世界中で栽培されているお茶を大きく分けると、茶葉が小さく耐寒性のある中国種(中国発祥)と、茶葉が大きく暑さに強いアッサム発祥のアッサム種に二分されます。アッサム種はタンニンを多く含み酸化発酵しやすいため、より短い製茶時間でコクのある味わいの紅茶が作り出せます。現在、世界中の人々が紅茶=ミルクティーをリーズナブルに楽しめるようになったのは、このアッサム種の茶樹の発見と、英国式の合理的な生産技術の両方があってのことです。
アッサム紅茶にはアーモンド
ルピシアでは長年アッサムと相性のよい食材を探してきましたが、結論としてはアーモンドなどナッツとの組み合わせが最高。複雑な滋味を持ち、ふくよかな奥行きのあるアッサムの風味を、香ばしく引き立ててくれます。