青郊×ルピシア オリジナル桜豆皿 制作秘話

こちらの投稿は、過去に世界のお茶専門店LUPICIAでご紹介した記事です。
商品・内容については掲載当時のものになります。

石川県能美市に位置する九谷焼「青郊窯」。毎年桜の季節に、ルピシアのオリジナル豆皿を制作いただいている窯元です。普段は社長自らがデザインも行う青郊ですが、ルピシアとの豆皿の制作では、ルピシアの社内デザイナーがデザインを担当させてもらっています。そんなコラボレーションも、今年で4年目。今年も新作デザインの豆皿を共同開発する中で、4年目の今だからこそ話せる(!)デザイナー同士の制作秘話を覗いてみます。
※2021年にご紹介した記事になります

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対談

桜豆皿の制作も、もう4年目になるのですね。最初を覚えていますか?

覚えています。1年目の当時、初めてルピシアさんから上がってきたデザインを見たときは「何だこれ?!」とびっくりしました(笑)。自分の中では当たり前になっていた、九谷焼独特の”セオリー”を、いい意味で超えてしまっていましたから。どうやって表現しよう……と悩みましたね。

九谷焼のセオリーというと、例えば、輪郭線にはどの色を使うとか、全体の配色だとか、“色使いのルール”のようなものですね。初めはそのルールが分からないままに始まって、デザインの補正で北野さんにずいぶん助けていただきました。

しかし驚いたことに、と言うと失礼かもしれませんが、実際に焼き上がってみるとすごく素敵で、社内でも可愛いねと評判でした。九谷焼の先入観にとらわれていない、普段と違ったデザインが新鮮に見えたのでしょう。年々デザインがブラッシュアップされているのを感じています。でも実は今もまだ、最初に上がってくるデザインラフを見る時はドキドキしているんですよね。

いつも自由にデザインさせてもらっているのが、ドキドキさせてしまっているのですね(笑)。私たちの方は焼き上がりを見せていただくとき、どんな風に仕上がったのだろうと、いつも期待でいっぱいです。画面越しながら、今日初めて見せていただくと、本当に細かな部分まで再現していただいていますね。

再現するのは大変でしたが、このデザインの細やかさが本当に素晴らしいと思います。私のデザインだと色遣いがもっと豪快になりますが、ルピシアさんは色の差し具合も配色のバランスも細やかにデザインされていて、その違いが面白いです。

細かいデザインは、九谷焼では珍しいことなのでしょうか?

もともと九谷焼の始まりは360年ほど前の江戸時代です。古くから残る作品を見ていただくと分かりますが、描かれているのは日本画のような絵画に近く、グラフィカルなものは実はそんなに多くないんです。「デザインする」のではなく、「絵を描く」感覚に近いですね。

確かに、普段よく目にする九谷焼は、風景や花鳥図が描かれていることが多いですね。

その点、ルピシアさんのデザインは、緻密に計算されたグラフィックが小さな円の中にきれいにまとめられていて、的確な表現か分かりませんが、”デザインされている”なぁと、いつも感心してしまいます。見ていて本当に勉強になりますよ。

嬉しいです。意識していなかったことですが、確かに大きな違いがありますね。他に、普段の作り方と違ったことはありましたか?

長く携わっていると、経験上、この絵ならどんな風に焼き上がるかということをある程度予測できるので、普段デザインするときは「線の太さはこれぐらい、色付けの範囲はこれぐらい」と完成形を思い描きながら作っています。
 しかし、ルピシアさんからデザインを預かる場合は、細部まで作り込まれた絵を出来るだけ忠実に再現できるように、技術面の方を試行錯誤しています。通常とは逆のアクセスで作るから、自分にとっては刺激的ですし、そこにこそコラボレーションして作っていく意義があると思っています。

私たちも、まさにその「逆のアクセス」に感動があります。完成形がどんな風になるのか期待しながら、手探りで自分の表現したいことをデザインに落とし込んでいく作業なので、デザイナーとして、とてもやりがいを感じています。

おそらく「ルピシア用に豆皿をデザインしてほしい」と依頼を受けたとしても、私のデザインでは、こんな完成形はきっと生まれなかったでしょう。私たちにとってもルピシアさんとの協同が技術的な面で新しい挑戦になっているので、こんなデザインもできるんだ、と毎年新鮮な驚きと発見があります。今後は豆皿以外にも、いろいろなアイテムを一緒に作ってみたいですね。

これからも、コラボレーションを通じて、ぜひ新たな挑戦をさせてください!ありがとうございました。

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