
夏目漱石が英語教師をしていた頃のこと。ある学生が「I love you」を「我 君を愛す」と訳すと、漱石はこう返したそうです。「日本人はそんなことは言いません。月が綺麗ですね、とでも訳しておけば足りる」。作り話か実話かは定かではありませんが、このように表現すること自体が素敵です。今年のルピシアのクリスマスのテーマは「月」。この特集では、夜空に浮かぶ月を私たちがどのように眺めてきたのかを探ります。
月は月でも、今日と明日は違う月
平安時代、紫式部が書いた『源氏物語』には、月が登場する場面が数十回あるといわれます。時を知らせるために、登場人物の心境を語るためになど、月は物語にさまざまな抑揚をつけています。
俳句では「月」は秋の季語ですが、「春の月」「夏の月」「冬の月」も季語です。これは、先人たちが、四季によって月が見せる風情や表情が異なると感じ取っていたからでしょう。冬の月にまつわる言葉をみてみると、「月冴(さ)ゆ」からは、澄みきった冬空に月がクリアに見える様子が浮かび、「寒月」は、それよりも寒さと静けさが強調されていると思いませんか。情景を語る表現力とセンスは、現代人も顔負けです。
気象・天候とつながる「雨月」「無月」「薄月」、その姿を伝える「淡月」「青月」「明月」など、月をあらわす言葉はたくさんあります。直接的な物言いだけでなく、霞や靄(もや)などでぼんやりと見える月を「朧月」、夜明けになっても空に浮かんでいる月を「有明月」と呼ぶあたりからは、たとえを楽しむ日本文化の一端を感じます。
こうしてみると、月は、見る人の心の豊かさを占うバロメーターともいえそうです。さて、今夜の月は、どのように見えるでしょう。
満ちては欠け、今年のイブはスーパームーンが輝きます。
月は地球の周りを公転する衛星で、自ら光ることはなく太陽の光を反射して輝きます。
太陽-月-地球の順に並ぶと、地球から見える月は太陽が当たっていない側となることから、月は見えません。太陽-地球-月と並ぶと、月が輝いている面は地球側を向くので丸い月=満月になり、月と太陽が90度の位置になると輝く面は半分しか見えないので、半月=上弦の月・下弦の月となります。

月は約30日周期で満ち欠けを繰り返し、人々は昔から、折々の月の姿に似合う名前を付け、呼んできました。その主な呼び名をご紹介します。
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主要参考サイト:国立天文台、ウェザーニュース、暦生活
誰と見ましょう、今年最後の満月。
満月の中でも、いつもより大きく、明るく見えるスーパームーン。2026年は3回あり、最後はクリスマス・イブというベストタイミング。しかも、このスーパームーンは、今年最も大きいそうです。ロマンチックに過ごしたい夜、大切な人に「月が綺麗ですね」と語りかけられるように、晴れることを願いましょう。

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