植物の香りで健やかな毎日

ルピシアだより 2021.5 WEB

新型コロナウイルスの流行により、私たちの生活は大きく変化しました。気を張る生活が続くことで、ストレスを感じる方も多いのではないでしょうか?
私たちの心を健やかに保つヒントを探して、香りの専門家にお話を伺いました。

ルピシアだより 2021.5 P2
熊谷千津(くまがいちづ)さん
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)理事長。アロマサイエンス研究所所長。農学博士。薬剤師。

香りでオン・オフを切り替える

香りを暮らしに上手に取り入れる方法を、日本アロマ環境協会の熊谷千津(くまがいちづ)さんに伺いました。

「リモートワークや外出自粛などで自宅で過ごす時間が長くなると、気持ちのオン・オフの切り替えが難しいと感じることはありませんか?」と熊谷さん。そこで、香りが良い働きをしてくれるとおっしゃいます。「例えば朝、精油をアロマウッドやディフューザー、コットンなどに垂らします。お昼頃には香りが弱まるので、午後はまた別の精油に変えてみる。香りが気分を切り替える“スイッチ”のような役割をしてくれます」(熊谷さん)

その香りを、リラックスに効果的だといわれるラベンダーやローズの香りにしたり、リフレッシュに効果的だといわれるペパーミントやグレープフルーツ、レモンの香りにしたり、その時の気分や体調に合わせて選ぶことで切り替えがうまくいくとおっしゃいます。

「香りと同様に、お茶もオン・オフの切り替えに適していると思います。お茶は香りの効果に加えて飲み物として楽しむこともできるので、心身にアプローチできるのではないでしょうか」と熊谷さん。

香り選びのポイント

「香りを選ぶ際に、一般的にいわれる効能を参考にするのも良いですが、大切なのは好きだと思う香りを選ぶことです」と熊谷さん。小学生を対象にした実験で、ペパーミントの香りを嗅いで百ます計算を実施して、誤解答数や作業数、気分などを調べるというものを行ったことがあるそうです。ペパーミントの香りを嗅いだ子どもたちの方が、嗅いでいない子どもたちよりも誤解答が少なかったという結果が出ましたが、ペパーミントの香りを好ましく思っている子どもの方がより効果が表れたとおっしゃいます。

「嗅覚は、本能的な行動や喜怒哀楽などの感情を司る大脳辺縁系に直結しているため、好きだと感じる香りが心身の求めている香りなのかもしれませんね」(熊谷さん)

香りのメッセージ

お茶の香りもそうですが、植物の香りはいくつもの香り成分が複雑に混ざり合っています。植物の香りに私たちが惹かれるのはなぜなのでしょうか?

「植物は自ら移動することができません。香りを放つことで虫をおびき寄せ、受粉をして命をつなぐ植物、逆に虫や菌を遠ざけるために香りを放つ植物もあります。どちらにしても、植物の生存戦略の一つとして香りが存在しているわけです。香りという植物からのメッセージを受け取っているから、私たちが香りに惹かれるのではないでしょうか」と熊谷さんはおっしゃいます。

なかなか気分の晴れない日々が続きますが、香りという植物からのパワーをもらって、心身ともに健やかに過ごしましょう。

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