
フェラーリをはじめとした自動車から家具、茶器まで幅広いジャンルで世界的に活躍する工業デザイナー、奥山清行氏。ルピシアとコラボレーションしたオリジナルの耐熱ガラス製ティーポット「TEAPO」のデザインについて、奥山氏に聞きました。
ガラスの特性と美しさを追求
温かいお茶もいれられて、冷蔵庫で水出しのお茶もいれられる耐熱ガラスのティーポットを作ってほしい。ルピシアからの依頼を受けた時の想いを奥山氏はこう振り返ります。
「これまで鉄瓶や陶磁器などのティーポットを手掛けましたが、ガラスは初めて。ガラスの茶器にはとても興味があってぜひやってみたかったんです。冷蔵庫のドアポケットで飲みものを冷やすための単なる容器ではなく、テーブルの上はもちろん、棚の中に置いても見栄えが良い『器』としてのたたずまいを大切にしました」
奥山氏のものづくりには、「モノの言うことを聞く」という哲学があります。
「人間が勝手にモノの形を決めるのではなく、素材そのものが『なりたがっている形』は何かに耳を傾け、人間が手助けをする。それが僕らにとってのデザインなんです。例えば1950?60年代のイタリア車が丸いのは、アルミの板を職人が叩けば自然と丸くなったから。それがアルミにとって一番美しく、強度が出る形です。ガラスも同じで、ガラスがなりたい姿を聞いてあげることが一番大切です」

TEAPOの丸みを帯びた形状も、ガラスの特性と美しさを追求した結果、導き出されたもの。ただ、その製造過程は苦労の連続だったといいます。
「ガラスが難しいのは、デザイナーの図面通りには仕上がりませんし、ほかの素材で試作できないところです。ガラスに精通した工場の技術者が全体の厚みを均一にし、お茶が垂れない注ぎ口の形状やハンドルの角度などを調整してくださって、ようやく完成します。現場で密にやり取りし、理想の形に仕上げるために試行錯誤を重ねました」
特に困難だったのは、ガラス、金属、樹脂という、性質も製造プロセスも異なる3つの素材を一点に集約させる設計でした。
「なるべく少ない形の構成で、シームレスに作りたいと考えました。丸型ティーポットは樹脂の蓋、金属のストレーナー(茶こし)を採用していますが、ストレーナーの有無にかかわらず、蓋とポットに一体感があるデザインにしたい。異なる性質の素材を精密に重ね合わせるフィッティングには非常に苦労しました」
TEAPOがスタイリッシュなだけでなく、使い勝手も抜群なのは、奥山氏自身がお茶をこよなく愛しているからこそ。
「母が茶道家だったのでお茶は身近なものですし、あんこが大好きなんです。甘味と玉露を合わせる喜びは格別です。イタリアで生活していた頃は紅茶が欠かせませんでした。イタリアはエスプレッソのイメージがありますが、上流階級や年配の方は意外に紅茶を飲んでいます。ゆっくりとした時間を楽しむためですね。最近では仕事で中国を訪れることも多く、烏龍茶もよく飲みます。TEAPOはお茶の色や味わいを存分に楽しんでいただけるものになりました。私自身もこれを使うのが楽しみなんです。このティーポットで、皆様のお茶の時間がより豊かなものになればうれしいですね」


奥山 清行(おくやま きよゆき)Kiyoyuki Ken Okuyama
工業デザイナー / KEN OKUYAMA DESIGN 代表
1959年 山形市生まれ。
ゼネラルモーターズ社(米)チーフデザイナー、ポルシェ社(独)シニアデザイナー、ピニンファリーナ社(伊)デザインディレクター、アートセンターカレッジオブデザイン(米)工業デザイン学部長を歴任。 フェラーリ エンツォ、 マセラティ クアトロポルテなどの自動車やドゥカティなどのオートバイ、鉄道、船舶、建築、ロボット、テーマパークなどのデザインを手掛ける。
2007年よりKEN OKUYAMA DESIGN 代表として、山形・東京・ロサンゼルスを拠点に、デザインコンサルティングのほか、自身のブランドで自動車・インテリアプロダクト・眼鏡の開発から販売までを行う。 2013年から2016年には有田焼創業400年事業「ARITA 400project」プロデューサーを務めた。
2016年8月、カリフォルニア モントレーカーウィークにおいて「kode57」を発表。秋田新幹線、北陸新幹線、豪華列車「トランスイート四季島」や、トラクターをはじめとするヤンマー製品など次々に手掛けている。
KEN OKUYAMA DESIGN × LUPICIA
ルピシアオリジナルポット「ティーポ」TEAPO誕生。
世界的に活躍する工業デザイナー奥山清行氏が率いるKEN OKUYAMA DESIGNと、世界のお茶専門店ルピシアとのコラボレーションによる「アイスティーをおいしく楽しむ」ティーポットです。イタリア語の「TIPO(ティーポ)」は、英語の「STYLE」、日本語の「型」を意味する言葉。「自分らしいスタイルでお茶の時間を楽しむ」コンセプトから、「TEA」+「TIPO」+「POT」の組み合わせで生まれました。
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