専用ティーカップの誕生ストーリー

紅茶占いカップ「Nelros Cup」。1920年代からはエインズレイ社に権利が譲渡され製造されました。その後も他社が復刻をし、現在まで作り続けられているデザインです。初期作品にはカップ中央に「希望」を意味する錨(いかり)が描かれ、ソーサー中央に考案者ネヴィル・ロスのイニシャルが入ります。

紅茶占い専用のティーカップが登場

紅茶占いの基本の占い方は、ティーカップに茶こしを使わずに紅茶を注ぎ(現在のような茶こしが普及したのは20世紀になってからなので、この時代はまだ茶こしが一般的ではありませんでした)、ひと口分だけ紅茶液を残し、カップをソーサーの上に裏返し、カップに残った茶殻の形で占うというものです。残った茶殻のモチーフが、犬の形をしていれば良い友達に出会う、猫の形に見えれば裏切りに遭い、馬の形に見えると願いが叶う……など、それぞれの形で運勢を占うのですが、モチーフの意味は地域ごとでそれぞれ解釈も異なるため、読み解く人により占いの結果が変わることも多々ありました。

そのため、この占いをより正確に、誰もが気軽に楽しめるように、紅茶占い専用のティーカップが登場するのです。最初に製造されたのは1904年に意匠登録された「Nelros Cup(ネルロスカップ)」です。

カップに描かれた惑星を中心としたモチーフの意味で運命を読み解けるようにモチーフの解説書もセットで販売されました。最も流行したのが「The Cup of Knowledge(知識のカップ)」です。内側にトランプ柄のデザインが施されたこちらのカップは、1923年にエインズレイ社で製作が始まり、43ページにわたる解説書は話題になりました。このデザインは1920年代後半から1930年代にかけて、さまざまな窯でコピーされ、日本国内でも輸出用の商品として製造されました。

紅茶占いカップ「Nelros Cup」。1920年代からはエインズレイ社に権利が譲渡され製造されました。その後も他社が復刻をし、現在まで作り続けられているデザインです。初期作品にはカップ中央に「希望」を意味する錨(いかり)が描かれ、ソーサー中央に考案者ネヴィル・ロスのイニシャルが入ります。

トランプ柄の「The Cup of Knowledge」の解説書。トランプ1枚1枚の意味、トランプ同士が組み合わさった際の意味についてまとめられています。巻末には、漢字のみでデザインされた珍しいカップも紹介されています。

復刻版の「Nelros Cup」で、19世紀の英国を味わう。

1904年に英国のデザイナー、ネヴィル・ロス女史が考案しエインズレイで制作された、ネルロス占いカップが復刻されました。当時のオリジナルデザインを生かしながら、復刻版では鮮やかなカラーを用い、華やかなデザインに仕上がっています。

エインズレイ ネルロス紅茶占い 
ティーカップ&ソーサー
(イエロー)

サイズ : カップ 直径105×高さ60㎜、ソーサー 直径147×高さ25㎜
内容量 : 約200ml

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エインズレイ ネルロス紅茶占い 
ティーカップ&ソーサー
(ライムグリーン)

サイズ : カップ 直径105×高さ60㎜、ソーサー 直径147×高さ25㎜
内容量 : 約200ml

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column 映画や本の中の紅茶占い

1999年発行のJ・K・ローリング作による小説『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第六章「鉤爪(かぎづめ)と茶の葉」では、魔法学校の占い学教授であるトレローニー先生がハリー達生徒に紅茶占いを教えるシーンがあります。占いの結果、ハリーのカップには死神犬(グリム)が読めると先生が不吉な予言をし、その後のストーリーの鍵となっていきます。2004年に同名の映画として全世界で公開上映されて以降、100年の時を超えて再び紅茶占いが注目されるようになりました。

また、イギリスでテレビ放映されたアガサ・クリスティ原作の『名探偵ポワロシリーズ』( 1989年〜2013年)や、アメリカの人気テレビドラマ『フレンズ』(1994年〜2004年)にも度々紅茶占いのシーンが登場しています。映画や本の中にも、これまで見過ごしていた紅茶占いのシーンがまだまだ埋もれているかもしれませんね。