THE CEYLON [Sri Lanka] TEA 生きた紅茶の博物館 セイロンの楽しみ方

ルピシア公式チャンネルにて配信!

セイロン紅茶をより深く味わえる動画コンテンツ
「光の島、セイロン 新しい紅茶の基本・7大産地を味わう」が
配信スタートしました。こちらもぜひお楽しみください。

>>ルピシア公式チャンネルはこちら

セイロン紅茶とは

「光り輝く島」を意味するセイロン(スリランカ)は、数億年の時をかけてさまざまな宝石を育んできました。名産であるサファイア、ルビー、トパーズ、ガーネットなどの名は、アラビアンナイトなどの物語にも登場しています。

この島の豊かな宝石の秘密は、多様なミネラル分を豊富に含む土壌。そこにかつて英国人が植えた茶樹から、しっかりした風格と余韻を持つすばらしい紅茶が生まれ、今ではインドと並ぶ英国式紅茶の伝統産地に成長しました。

インド、ケニアと紅茶の輸出量世界一を争う生産量もさることながら、最大の魅力は宝石と同様に多彩な味と香りの多様性。そして紅茶に対する品位と尊厳を込めた、高い品質を維持し続けている姿勢です。

インド洋に浮かぶセイロン(スリランカ)の、宝石のような多彩な紅茶をお召し上がりください

生きた紅茶の博物館

セイロンは、島全体が生きた紅茶の博物館。

ピドゥルタラーガラ山(2,524 m)を主峰とする中央山脈を囲んで広がる、標高も植生も異なるバラエティー豊かなお茶産地で、19 世紀から続く英国式紅茶の伝統を受け継ぎながら、さまざまな製法や味わいの紅茶が作られています。

お茶の産地は標高によって、610 m未満のローグロウン、1,220 m未満のミディアムグロウン、それ以上のハイグロウンに分類されています。これらの産地は標高ばかりでなく、栽培されている茶樹の品種も異なります。

ハイグロウン産地では、主にダージリンと同様の中国種やその改良種(クローナル=接ぎ木種など)を栽培。そしてローグロウンとミディアムグロウンで栽培されているのは、アッサム系の品種が中心です。

ハイグロウン産地の紅茶には、季節風と立地の組み合わせによって風味が一段とおいしくなるクオリティーシーズンがあります。ヌワラエリヤやディンブーラなどの西斜面は1〜3月、東斜面のウバでは7〜9月が旬。その他のエリアでは、一年を通じて良質な紅茶が生産されています。

左)15世紀以降ポルトガル・オランダ・イギリスの植民地支配を受けていたセイロンでは、17世紀以降、コーヒーを中心としたプランテーションが作られていましたが、1860年代にサビ病という病気の流行で壊滅状態になります。セイロン紅茶の歴史は、1867年、スコットランド人のジェームステーラー James Taylor(1835~1892)が、コーヒー園にかわる事業として、19エーカーの茶園を設立し、紅茶の製造を開始したことに始まります。

右)スリランカ国旗と紅茶。1948年に島はイギリス連邦内の自治国「セイロン(ライオンの島の意)」として独立。その後、1972年に「光輝く島」を意味するスリランカへ正式国名が変更されました。紅茶産地としては旧国名であるセイロンの名称が現在も使われています。

セイロン紅茶の三つの魅力

セイロン紅茶は、世界中の人々に愛される魅力を持っています。そのポイントは三つあります。

第1に、品種と製法の多様性。

オーソドックス、セミオーソドックス、CTC(Crush=砕く, Tear=裂く, Curl =丸める)製法まで、伝統的製法による英国風「紅茶らしい紅茶」の、ほぼ全ての種類を網羅。また、各茶園の標高や環境に合わせて、アッサム種や中国種、クローナル種など多様な品種を育成しています。

第2に、高品質かつリーズナブルであること。

英国植民地時代に誕生したセイロン紅茶は、お茶発祥の地である中国の紅茶と比べて、濃厚な味わいが特徴。それこそが、ミルクや砂糖によく合う力強い風味を茶葉から引き出す、英国伝統の製法の強み。とはいっても、手作業が中心だった中国紅茶とは違い、蒸気機関や水力などを駆使した産業革命以来の伝統製法。合理化・機械化されています。また赤道に近く降雨量の多い環境のため、新芽を摘んでから再度、収穫することのできる間隔が短いため収量も多く、インド・ダージリンなどの他の産地と比較しても、高品質な紅茶をリーズナブルな価格で楽しむことができます。

第3 に、旬の味わい。

セイロン(スリランカ)は、熱帯性モンスーン(季節風)気候の島。モンスーンの季節風の影響によるクオリティーシーズンがあり、特に凝縮した味わいの茶葉を楽しめます。5〜9月には、赤道付近から来る暖かく湿った季節風が、中央山脈の西側に雨を降らせた後、乾いた冷気となって東側のウバ地方に吹き下ろします。この冷気によって茶葉の身が引き締まり、風味のよい紅茶が生産できるので、ウバのクオリティーシーズンは7〜9月。逆に山の反対斜面にあるヌワラエリヤやディンブーラでは、北東モンスーンの季節に冷気が吹き下ろすので、1〜3月頃がクオリティーシーズンとなります。同じ標高でも、地形によって季節が変動・逆転する茶農園や、季節変化のほとんどない場所もあります。ティーシーズンがあり、特に凝縮した味わいの茶葉を楽しめることです。

19~20世紀に発展した英国式紅茶の歴史をそのまま残した伝統製法による高品質な紅茶を、リーズナブルな価格で楽しむことができます。
一部のハイグロウンエリアでは、モンスーンの季節風の影響で、冷たい乾いた風によって風味が凝縮された茶葉が育成される旬があります。

七つの産地

インド亜大陸の東南、インド洋に位置する島国スリランカ。現在も紅茶産地としては、旧国名のセイロンの名称で親しまれています。北海道の0.8 倍ほどの面積の国土に、中央の山岳地帯から南部にかけて、庭園のように美しく整備された茶園が多数点在。19 世紀から続く英国式紅茶の伝統を引き継ぎながら進化を続けている、生きた紅茶の博物館にして聖地です。

これらの産地については、標高や行政エリアによって様々な名称や分類がありますが、スリランカの紅茶産業の管理を行うスリランカ紅茶局(Sri Lanka Tea Board)によって、お茶の生産地区は大きく七つの産地に分割されています。

セイロンには、現地の専門家でも把握しきれないほど多くの茶園が点在しています。また、様々なタイプの紅茶が生産されているため、紅茶をより深く知り、楽しみ、味わうきっかけに最適な産地です。

英国統治時代のセイロン茶産地地図(1934)より。大規模に栽培されていたコーヒーが1869 年に虫害で全滅した後、本格的な紅茶の栽培が始まった。島の最高峰ピドゥルタラーガラ山(2,524m)を中心に広がる山岳地帯と、南の平地が紅茶栽培の中心地。

ヌワラエリヤ〈Nuwara Eliya〉

英国統治時代の別荘や競馬場などが立ち並ぶ標高2,000m 前後の高原リゾート地。野生のミントやイトスギのような、青みがかった爽やかな余韻と明るいオレンジ色に輝く水色が特徴のハイグロウン産地です。紅茶のシャンパンと称される爽やかな風味はアイスティーにも最適。

» ヌワラエリヤ お求めはこちら

ヌワラエリヤ - Nuwara Eliya 標高2,000mエリアに広がる広大な茶園エリアは、インド・ダージリン同様に避暑地としても有名

ウバ〈Uva〉

標高900 〜1,500m の丘陵地帯に広がるハイグロウン産地。力強い味わいと爽やかな香気が特徴。日本ではインド・ダージリン、中国・祁門と並ぶ、世界三大銘茶の一つとして知られています。特に冷たく乾燥した季節風が茶園に吹く7 〜8 月頃に風味が凝縮するクオリティーシーズンの紅茶は、清涼感あるキレ味、ガツンと力強い渋み、南国の果実を連想させる豊かな余韻が調和する個性派で、世界中の愛好家に支持されています。

» ウバ お求めはこちら

ウバ - Uva 洗練されたキレ味と爽やかさのある味わい。セイロンの紅茶産地の中でも、世界的にもっとも広く知られています。

ウダプッセラワ〈Uda Pussellawa〉

スリランカ中央山脈東側に位置するウダプッセラワは、キャンディ地区とウバ地区に挟まれ、ヌワラエリヤ茶園エリアに隣接する標高950 〜1,600 m のハイグロウン産地。野生のヒョウや希少な動植物が生息する自然保護区の原生林に囲まれた茶園は、夏の南西モンスーン、冬の北東モンスーン系の双方に影響を受けることで知られており、ブーケを思わせる花香や、深みと落ち着きのあるミディアムボディの紅茶を生産します。

» ウダプッセラワ お求めはこちら

ウダプッセラワ - Uda Pussellawa ウダプッセラワは、隣接するヌワラエリヤに深みと落ち着きを加えて、ほのかにブーケを思わせる花香を加えたような、ミディアムボディの味わいが主流です。

ディンブーラ〈Dimbula〉

島の西斜面に広がる、セイロン最古のお茶産地の一つ。美しい山岳風景や水に恵まれた、ミディアムグロウンからハイグロウンに位置する主要産地です。バラ色やオレンジ色に輝く水色、甘い香りと清涼感ある後味が魅力的。深みのある爽やかな味わいはアイスティーやアイスミルクティーにもおすすめ。

» ディンブーラ お求めはこちら

ディンブーラ - Dimbula スリー・パーダ山(別名アダムスピーク)を背景に、ディンブーラ茶園にて

キャンディ〈Kandy〉

古い寺院が湖畔に建ち並ぶ世界遺産の古都・キャンディは、標高600 〜1,200m に広がるミディアムグロウンを代表する名産地。島で初めて茶樹が植えられた土地としても有名です。クラシックなオーソドックス製法から現代的なCTC まで製造される紅茶は、安定した品質とリーズナブルな価格を兼ね備えたセイロン紅茶の優等生。ティーカクテルなどアレンジティーのベースや、アイスミルクティーにおすすめ。

» キャンディ お求めはこちら

キャンディ - Kandy 茶園を見下ろす英国人が考える地上の楽園のような風景。キャンディエリアのリゾートアマヤヒルズホテルにて。

ルフナ〈Ruhuna〉

ルフナは現地語で「南」を意味する、島の南部エリアの総称。ハンドメイドによる伝統的製法の高級品からミルクティー向けのCTC まで製造される、中近東やヨーロッパを中心に世界的に需要の高い紅茶産地。アッサム種を中心とした茶葉は、渋みが比較的少なく、飲み口は穏やかで洗練された味わい。ミルクティー向けの紅茶産地としても人気です。

» ルフナ お求めはこちら

ルフナ - Ruhuna 中近東を中心に、世界的に高い評価を受けている高級茶産地としても有名。アッサム系品種の茶葉を中心に栽培しています。

サバラガムワ〈Sabaragamuwa〉

セイロン最大の紅茶生産地区サバラガムワは、スリランカ中央山脈南西側、ルフナの北東に隣接するローグロウンを中心とした産地。特に標高610m 未満の丘陵地帯で育まれる紅茶は、赤みがかった濃い黄褐色のカップの色合い、キャラメルのような香りの余韻と優美な気品があります。産地の北方にそびえるスリー・パーダ山(別名アダムスピーク・標高2,238m)は、ヒンドゥー教、仏教、イスラム教、キリスト教の聖地。また宝石の町として知られるラトゥナプラを中心に、ルビー、サファイア、トパーズなどの産出地としても知られています。

» サバラガムワ お求めはこちら

サバラガムワ - Sabaragamuwa 2000年代以降に、風味の違いからルフナから北部が独立しサバラガムワとして分割された。ローグロウンを中心としているが、エリア内にラトゥナピュラなどミディアムグロウンを含む。